日本人なら誰しも持つ苗字。だが、その歴史は150年弱と案外浅い。
かつて苗字を名乗ることができたのは、武士や貴族など一部の特権階級に限られた。時は移り、明治維新。早急に戸籍制度を整える必要があり明治政府は1875(明治8)年2月13日、「平民苗字必称義務令」の太政官布告で民衆に苗字を名乗ることを義務付けた。
実は、この5年前の70(明治3)年9月19日に出された「平民苗字許可令」で平民にも苗字が許されている。ただ普及しなかった。これまで必要なかった苗字を付けられることで、課税させられるのでは-と疑う人が多かったからだそう。
日本人で多い苗字ランキングは(1)佐藤(2)鈴木(3)高橋(4)田中(5)伊藤(6)渡辺(7)山本(8)中村(9)小林(10)加藤─。同じ読み方でも漢字が違う、漢字が同じでも読み方が違うことで10万種、あるいは30万種あるとされる。
苗字の多くは地名や自然物に由来する。当時、ご先祖様の周囲には何があっただろうか。山や田畑、あるいは水辺? 自分のルーツが見えてきそうで興味深い。